マイクロバブル・ウルトラファインバブルには下記のような効果があります。
1 | 生物活性化 の効果 |
2 | 強力な洗浄と除菌効果 |
3 | アルミ加工時の構成刃先剥離効果 |
4 | シリコンウエハー面粗度UPに効果 |
5 | 高い気体溶解効果 |
6 | 殺菌効果 |
7 | 魚等の鮮度保持効果 |
8 | 脱色効果 |
9 | 浮上分離の効果 |
10 | バイオフィルム発生抑制効果 |
11 | 抵抗低減の効果 |
12 | 帯電と溶液の濃縮 |
13 | ナノ粒子製造工程での微細化効果 |
14 | 液流れの可視化 |
15 | リラックス効果 |
16 | 未知の効果 |
17 | 省エネルギー効果 |
ファインバブルの様々な効果
(1) 生物活性化 の効果
ファインバブルは生物活性化に関与している。これはファインバブルの持つ大きな効果の一つである。
生物の成長を早め、死亡率を低下させている。植物栽培、魚貝類養殖に利用されており、大きな効果を上げている。少しのエネルギーで食物の増産を可能にする。食糧不足の問題を解決するための大きな手段となる。
微生物にファインバブルを与えると増殖が速くなる。この微生物の活性化で水浄化、排水、下水処理の処理能力を高めている。排水処理場にファインバブルを使用すると処理能力をアップさせることが出来る。酒造りではファインバブルを酵母菌に与えることにより酒が旨くなる。
現在、ファインバブルは、工作機械のクーラント液の腐敗防止、悪臭防止と潤滑油との分離にも使用されている。
*生物活性化のメカニズムは、科学的に解明されていないが、研究が進められているので、近い将来、解明されることを期待したい。
(2)強力な洗浄と除菌効果
ファインバブルのもう一つの大きな効果は、洗浄力が非常に高いことである。この洗浄メカニズムは下記のようなものと考えられている。
シリコンウエハー表面に付着したコンタミの洗浄では、UFB(ウルトラファインバブル)が含まれる超純水ジェットをかけた時のバブル破裂時の力、衝撃波が洗浄力を飛躍的に高めている。
ファインバブルは油分に浸透し、付着面との境界に浸透するので油分を剥離除去する脱脂効果がある。また、密着した物の間の狭所にも入りこみ、ナノサイズのバブルが合体しマイクロバブルとなりクサビの役割を果たし分離させることが出来る。この特性により洗浄力が高まる。この用途は非常に多く、家庭の風呂・シャワー、食器洗いから、機械加工部品等の洗浄に使用されている。
また、除菌効果も高い。表面に付着した菌だけでなく、生むきエビの身にファインバブルが浸透して除菌し、水道水と空気のファインバブルで90%近くの除菌に成功している例もある。
(3)アルミ加工時の構成刃先剥離効果
ファインバブルは、アルミニウム加工時、刃物にできる構成刃先を剥離させ、アルミ製品の面粗度を上げる事ができ、不良率を低下させている。
剥離のメカニズムは、シリコンウエハーコンタミ洗浄で述べたファインバブル破裂時の力、衝撃波によるものと考えられる。また、切削字の刃先は800℃近くになるのでファインバブルが急激な熱膨張と破裂で構成刃先を剥離していると考えられる。また、ファインバブルによる放熱効果により構成刃先ができにくくなっている可能性もある。
自動車業界では、自動車の軽量化の為、アルミニウム部品が増えている。今後、アルミ製品の不良率を下げる為、ファインバブルが工作機械に常備されることが予想される。
(4)シリコンウエハー面粗度UPに効果
ファインバブルが、研削砥石の切り刃を常に確保することによって面粗度をアップしている。シリコンウエハーの様々な機械加工でOKノズルが使用されている。金属イオンを嫌う工程ではPTFE製OKノズルが使用されている。
(5)高い気体溶解効果
ファインバブルは、径が0.1㎜未満のバブルなので液に溶解しやすい。バブル径が小さいほど溶けやすい。
効率よくDo値を高め、オゾン水、炭酸水、水素水、窒素水等を意外と簡単に作ることができる。また、溶存気体を増やすだけでなく、UFB(ウルトラファインバブル)水となる。
ループ流式OKノズルは効率よく気体溶解度を高めることが出来る。OKノズルの内部は「滝つぼ」のような状態となっていり、気液混合が激しく行われていることで気体の溶け込みも早い。
気体溶解の効果は植物栽培、魚貝類の養殖を始めとして多分野で大きな成果を上げている。
(6)殺菌効果
オゾンガスのファインバブル水は、単にオゾンを溶解させた水より殺菌力が強い。空気のファインバブルでも密度が高いと大腸菌は繁殖が止まり菌の減少が確認されている。また、
「韓国済州島のヒラメ養殖場の地下海水の検査で、水中の病原体に対する殺菌および滅菌作用を確認するためにマイクロバブル発生させるOKノズルを通過する前と後の溶岩海水内の総菌数を測定した。その結果、ノズルを通過する前の溶岩海水の元水には菌数が3個体/1mlと120個体/100mlが発見され、ノズルを通過した後の処理水は菌数が0個体/1mlと60個体/100mlが発見された。」
この実験データ結果は、酸素ファインバブルでの殺菌とループ流式OKノズル内部でのキャビテーションで殺菌されているものと考えられる。
(7)魚等の鮮度保持効果
窒素ファインバブルで水に溶解している酸素を窒素に置換した窒素バブル水に魚を入れると通常より数倍長持ちする。
(8)脱色効果
ファインバブルと微生物で色が付いた水を脱色することができる。しかし、微生物に処理させるので多少時間がかかる。
短時間で処理する場合は、オゾンファインバブルを使用する。オゾンをファインバブルにすると脱色効果も高まり、脱色装置もコンパクトにできる。旭山動物園のカバのプール水脱色は、OKノズルにオゾンを供給し脱色している。
(9) 浮上分離の効果
マイクロバブルはマイナスに帯電しており、その付着、吸着力と浮力によりゴミ、プラスチック、油等を浮上分離することができる。
また、観賞用魚の水槽、陸上養殖などでは、プロテインを泡に吸着し浮上分離することが出来るのでプロテインスキマーとして利用できる。OKノズルがサンシャイン池袋(水族館)にも使用されている。
(10)バイオフィルム発生抑制効果
空気のファインバブルは水の入ったタンク内面に発生するバイオフィルムの発生を抑制することができる。
魚貝類の大型水槽では、壁面の掃除が楽になったとの効果を上げている。
自動車部品等のアルミ加工工場では、クーラントタンク内壁にバイオフィルムと共に付着したアルミ加工の微粉除去にも利用されている。
水媒体のチラーでは、バイオフィルム発生を抑制できるので効率を保持できる効果がある。
(11) 抵抗低減の効果
マイクロバブルは管内抵抗を低減の効果がある。流体輸送のコストダウンになる。
また、船底抵抗を低減することが出来るので燃料節減になる。船底が平らなほうが、抵抗低減効果は高いので川、湖で使用されている船に向いている。これは燃料の節約だけでなく、同時に川の浄化も行うので、浄化の立場からもファインバブル発生ノズルを船に設置するメリットがある。
(12)帯電と溶液の濃縮
ファインバブルは帯電しているので、イオン化している液肥等を濃縮することができる。イチゴ高設栽培ではファインバブルを使用すると通常の液肥の量は多いので削減している。有明ノリ養殖では、色落ちが始まっても、海苔漁場の海苔網にファインバブルを入れると色落ちがない。海苔の色落ちの主な原因は栄養分の不足である。
また、この効果は化学薬品製造に利用できる。
(13)ナノ粒子製造工程での微細化効果
マイクロバブル径10μm前後をピーク径に持つ高密度のファインバブル水中でプラズマを発生させると、10nm以下の金属ナノ粒子を生成することができる。10nm以下の金ナノ粒子が入った水は、ピンク色でなく透明との報告がある。3L/minのOKノズルを使用。
(14)液流れの可視化
液の流れの中にマイクロバブルを入れることによって、液の挙動を可視化できる。工業的には潤滑油の動き、医学的には人工透析器のろ過装置での液流れ分析の手段として実験的に使用され始めている。結果が設計に生かされる。
(15)リラックス効果
リラックス感は、ファインバブルを風呂に使用した場合です。普通の風呂でも十分にリラックス感はあります。これはお湯で体が温まり、血流がよくなるのでリラックス感があります。ファインバブルの入ったお湯ではさらに血行が良くなりますので、さらにリラックスし、プチ温泉気分になります。
(16)未知の効果
多くの分野でファインバブルの研究が行われているので、まだ まだ「ファインバブルの効果・力」が発見されるでしょう。
例えば、・止血効果? ・鎮痛効果? ・学習能力向上? ・・・・・・・・。
(17)省エネルギー効果
ファインバブルは多くの分野で使用され始めており、上記でその効果を述べたが、ほとんどの効果は、省エネルギー効果をもたらすことである。
微生物活性効果により、排水処理ではファインバブルを使用すると通常の曝気に比べて、電気使用量は半分以下となる。汚泥も減少する。植物栽培、魚の養殖では同じDo値にするのに酸素の使用量は半分以下となるうえ、増産となる。
このように省エネルギー効果はファインバブルの特徴である。